江戸・明治期 ガマの油の原料だった「馬油」とは

江戸・明治期のガマの油の原料「馬油」

 ガマの油の油脂にはヤシアブラ、タネアブラ、猪油、馬油がつかわれていた。馬油は、馬の皮下脂肪を原料とする動物性油脂のことである。主に食用の馬を解体する際に腹や首の部位から採取される。オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを多く含んでおり、古来より皮膚治療の民間薬に用いられてきたが、医薬品のような効能・効果は認められていない

 通常は固形だが、融点が30~43℃と低く、夏期は外気温で容易に液体化するので、外用剤として利用する際には冷蔵保存が必要である。


 馬油はヒトの皮脂とよく似た性質を持ち、浸透性、保湿・保護の効果が確認できるため、皮膚の健康を維持する目的での外用剤に適している。

  馬肉の生産量が全国1位の熊本県をはじめとする生産地では、地域資源である馬油から基礎化粧品や石鹸、シャンプーなど様々な製品が実用化されている。