茨城県は観光の”魅力”発信の努力が欠如

 観光庁が10月30日、「宿泊旅行統計調査(平成27年8月・第2次速報、平成27年9月・第1次速報)」を発表した。 

 延べ宿泊者数は、平成27年8月の延べ宿泊者数(全体)は、5,583万人泊(前年同月比+2.9%)と、 平成19年の調査開始以来、最高となった。また、9月の延べ宿泊者数(全体)は4,338万人泊で、 前年同月比+9.4%と大きな伸びを示した。

 日本人延べ宿泊者数は、平成27年8月は前年同月比-1.3%であったが、平成27年9月は前年同月比+6.1%で、シルバーウィークの影響もあり、大きな伸びを示した。 

 客室稼働率は、平成27年8月の客室稼働率は全体で70.2%と、平成22年の調査開始以来、最高となった。シティホテル(85.2%)、ビジネスホテル(80.7%)も過去最高全体でも90.4%となるなど、極めて高い客室稼働率となっている。 平成27年9月の客室稼働率は63.2%であり、8月に比して低くなっているが、9月としては過去最高である。

 タイプ別客室稼働率
  茨城県は、“全体”が61.6%で全国第36位であった。1位大阪、2位東京。 

(注1)平成27年8月(第2次速報)は、平成27年8月分の宿泊旅行統計調査について、10月19日までに回収された有効な調査票(有効回収率:56.9%)を基に推計を行ったものである。したがって、当資料の数値は、9月30日公表の「宿泊旅行統計調査(平成27年8月・第1次速報)」と異なっている点にご留意いただきたい。 

(注2)平成27年9月(第1次速報)は、平成27年9月分の宿泊旅行統計調査について、10月19日までに回収された有効な調査票(有効回収率:43.5%)を基に推計を行ったものである。したがって、当資料の数値は、11月30日公表予定の「宿泊旅行統計調査(平成27年9月・第2次速報)」で変更となる点にご留意いただきたい。

 -都道府県別客室稼働率(平成27年8月(第2次速報))-
  

  

都道府県別述べ宿泊者数
 茨城県は前年同期比10.8%の伸び。奈良、三重は前年より大きくふえたが、茨城県は善戦している。
 ①都道府県別延べ宿泊者数(平成27年8月(第2次速報))と前年同月比  
       

なぜ茨城県が魅力度最下位なのか、情報発信の欠如が大きい 
 茨城県は奈良時代の常陸風土記があるように歴史の古い自然環境も豊かな県である。それだけではない。茨城県は農業、水産業、工業で生産量や収穫量で全国第一位のものが多数ある。

 農業では、農地面積が広く、陸稲、春白菜、春レタス、ピーマン、夏ネギ、夏秋なす、秋冬白菜、レンコン、ちんげんさい、みずな、メロン、クリの収穫量、鶏卵の生産量は全国第一位である。
 水産物についても、まいわし、サバ類、あゆ、えびの漁獲量、養殖業では鯉、淡水真珠の収穫量、水産加工品ではイワシ、ホッケの生産量はどれも全国第一位である。

 工業ではどうか。日立市など県北部や鹿嶋市などの臨海部は工業が盛んで、製品出荷額は全国8位である。食料品、ビール・その他の蒸留酒、住宅建築用木製組立材料、化学工業製品、プラスチック製品、窯業土製品、各種機械器具等の執化学は全国第一位である。

 このように県内各地に全国第一位の産出物があるということは、創意工夫次第で観光客に対し“見たい”“食べたい”“買いたい”という魅力を提供することが可能であるというである。

 茨城県には300万人もの人口がいるが、実は人口が30万人を超えている都市がひとつもない。同様に、茨城県にある市町村のうち、魅力度ランキングで全国順位が100位以内のものがひとつもない。茨城県といえばここといった茨城県を強くイメージさせる個性的な市町村がない。人口流入が続くつくば市を除けば“衰退”の影が付きまとう。

 大学、研究機関が集積しているためつくば市は先端科学の分野では全国第一位であり、学術・芸術も全国的に上位に位置しているが、つくば市やその周辺自治体が先端科学や学術・芸術を生かした町づくりをしているかといえば、そうとも言えない。新しいものと古きものが混在し、つくば市を特徴づけるイメージに欠ける。

 県民性なのであろうか、筑波でも土浦でも感じられることであるが、商売をしていても“自分の店だけでいい”、“自分の代だけでいい”といった内向きの気風が見て取れる。他の店、他の町、たの市町村と連携して、各地にある全国第一位の産出物を組み合わせた誘客の取り組みがあれば、茨城県の魅力度もアップするはずである。 

 地域ブランド総合研究所の「地域ブランド調査2015」の調査はインターネットアンケートで実施し、全国から2万9,046人の回答を集めたもので、回答した者が抱くイメージである。回答した者が茨城県に関する情報、特に好ましいイメージに接する頻度によって形成されたイメージである。

 茨城県には他の都道府県いない魅力ある歴史、山谷湖水などの自然、全国第一位の産出物など観光振興のために価値あるものが多数あるにもかかわらず、他の都道府県の人に“魅力度が最低”と連想されるのは、茨城県のよさga“知られていないこと,言い換えれば、県や市町村や観光関係者の情報発信が貧弱であることが大きな原因と考えられる。