筑波山発電施設「景観配慮」会社側が説明会 住民からは反発の声
2016年1月21日(木)読売新聞朝刊35面
つくば市沼田地区の筑波山麓で太陽光発電施設の建設を目的に樹木が違法伐採されるなどした問題を巡り、施設を計画しているセンチュリー・エナジー社(東京都千代田区、山中正社長)による地元説明会が20日夜、同地区の市施設で初めて開かれた。
「景観や防災に配慮している」とした同社の説明に対し、住民からは疑問の声が相次いだ。
説明会は、市か同社に働きかけて実現。同社から3人が出席した。同社は建設に法的には問題がないとした上で、「光を反射しにくいパネルを使うなど景観に.配慮している」「傾斜地をネットで覆い草地にし、土砂災害の防止を図っている」などと説明した。
これに対し住民側からは「なぜ、伐採前に説明会を開かなかったのか」といった疑問や「筑波山を訪れる観光客も驚いている」「筑波山の土は広島の土砂災害が起きた場所と同じ、滑りやすいマサ土だ。災害に対する認識が甘すぎる」など反対の意見が相次いだ。「建設地から泥水が流れてきた」との証言もあった。
現地では発電施設の資材搬入が始まっている。住民側は今後、地元の市議らが公開質問状をまとめ、同社に提出する構えで、説明会では回答まで工事の中止を求める声も上がった。
同社側は、事前に説明しなかったことを謝罪し、災害への懸念に対しては「誠意ある対応をしていく」と述べたが、工事の中止については「災害対策を万全にして工事は進めさせていただく」と拒否した。
現地は法律上、無許可でも太陽光発電施設の設置も可能だが、市では土砂災害の危険や景観の問題から、筑波山での設置を規制する条例の制定を検討している。会場では市側の担当者が「条例の運用指針で、住民合意を盛り込むことも視野に入れている」と発言、改めて市として建設に反対していく姿勢を示した。
ソーラーパネル設置の背景、電力小売りの自由化
経済産業省は2015年10月8日、2016年4月に始まる電力小売りの全面自由化目に向けて、大手電力が独占している一般家庭や小規模な事業者向けの電力販売を、ガスや石油元売り会社など40社に認めると発表した。自由に電力が販売できる小売り電気事業者として登録する第一弾で、料金やサービスの競争が進みそうだ。
2016年4月から、家庭やコンビニエンスストアなどでも、料金メニューやサービスを見比べて、地元以外の電力会社から電気を買えるようになる。約8兆円の市場が開放され、企業同士の料金やサービスの競争が進むことが期待される。