いばらぎ大使が地元と軋轢を起こした筑波山中腹の太陽光発電 

差し止め要望 茨城県につくば市長ら 1月21日

茨城県が委嘱した”いばらぎ大使”が
   地元と軋轢を引き起こすというでたらめな話!

 1月21日、太陽光発電事業を目的に筑波山麓の樹木が違法伐採されるなどした問題で、つくば市の市原健一市長と住民団体が1月21日、県庁を訪れ、事業許可への慎重な対応や差し止めなどを求める要望書を橋本知事に手渡した。知事は「法律で限られた点もあるが、できるだけの対応をしたい」と話した。要望書を提出したのは、市のほかに、地元住民や商工業者が集まった「筑波山の自然、生活を守る会」と、自然環境保護に取り組むNPO法人「つくば環境フォーラム」の2団体。

要望書は、市、2団体それぞれから提出され、景観を保護するための対策や、土砂災害の予防措置、太陽光発電事業を規制する指針作りなども求めた。  

   知事の記者会見 
   http://www.pref.ibaraki.lg.jp/bugai/koho/hodo/press/p160122.html##7

 [記者会見のやり取り]
 記者「
開発をしている業者の代表の方がいばらき大使をしているという話を聞いたのですが,これは事実でしょうか。」

  知事:茨城県人会連合会の役員をやっておられるもの・・・・。」

 貴重な筑波山の中腹付近において、国定公園区域内に3カ所、区域外に1カ所の合計4カ所となる大規模な太陽光発電所が設置されようとしている。既に、一部では貴重な森林が伐採されるとともに、筑波石までもが撤去され、一面に赤土の大地が剥き出しになっている。現場には建設資材が運び込まれており、発電事業者側はあくまでも建設を続行する姿勢を堅持している。

 景観の保護に目もくれず金もうけのため森林伐採を厭わない発電事業者の事業内容に「環境保全に関するエンジニアリング・コンサルティング及び技術ノウハウの提供」とあるのは、皮肉なことだ。しかも、開発をしている業者の代表は“いばらき大使”をしているという。“いばらき大使”が地元と軋轢を起こしているというでたらめな話である。
 

  梅林の案内板の左手が伐採された山肌 

  
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  樹木が伐採されて赤土がむき出しになっている
  
つくば市民は国定公園の境界外であっても山麓一帯を含んだ地域を”筑波山”ととらえてきた。国定公園の境界外だからソーラーパネルを設置しても法律違反でないが、ことは法律論ではない。歴史的景観を守るか否かであり、単なる金もうけの問題ではない。

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水郷筑波国定公
について
 水郷筑波国定公園は、茨城・千葉両県にまたがる国内15番目の国定公園で、霞ヶ浦と利根川下流土或、犬吠崎を中心とした水郷地域と、筑波山や加波山、宝筥山を含む筑波山塊を中心とした筑波地域の2つの地域からなっている。水郷地域は昭和34年3月3日、「水郷国定公園」として指定され、10年後の昭和44年2月1日には筑波地±或が編入され、名称も水郷筑波国定公園に変わった。

 公園面積は筑波地域10,921ha、水郷地域24,035ha(うち茨城県側は20,880ha)のあわせて34,956haで、国内11番目の広さを持つ自然公園となっている。
 
 

筑波山について
 日本百名山のひとつに数えられる茨城県を代表する山です。関東平野のほぼ中央に二つの峰でそびえたつ独特の山容は、古くから「西の富士・東の筑波」と称され、日本最古の歌集である万葉集にも多くの歌が詠まれている。また、先史時代から山岳信仰の対象とされ、神の山として保護されてきた。

 標高は最高峰の女体山が877m、男体山871mで、県内では5番目に高い山である。茨城県では筑波山より南に高い山はなく、北方系と南方系の動植物の分布が重なる学術的にも重要な地域である。茨城県自然博物館の調査によれば、1,OOO種を越える植物が記録されています。1,000mにも満たないこの小さな山域でこれほど生物多様性に富んだ場所は多くない。
 筑波山はほぼ全域が国定公園の保護区域で、特に山頂から南側にかけての山林は、もっとも厳重に自然が保護される「特別保護地区」に指定されている。
 筑波山神社の境内地として手厚く保護されてきた貴重な自然と歴史の遺産を次世代に引き継がねばならない。
               茨城県『水郷筑波国定公園 筑波山ガイド』