「伊豆半島」ジオパーク認定保留、理由は「わかりづらい」

ジオパーク認定保留、理由は「わかりづらい」

                       YOMIURI ONLINE 20151115 1044

 「世界ジオパーク」への認定が9月に保留とされた伊豆半島について、世界ジオパークネットワーク(GGN)が先月5日、伊豆半島ジオパーク推進協議会(会長=佃弘巳・静岡県伊東市長)に約10項目の保留理由を通知していたことが、静岡県への取材で分かった。

 

 GGNはこれまで保留理由を明らかにしていなかった。

 県によると、協議会に届いた保留理由には、〈1〉科学的に価値がある地形や地質の範囲がわかりづらい〈2〉海外からの観光客に対応できるガイドの不足〈3〉保護活動が不十分――といった約10項目が指摘されていた。

 GGNは9月19日の審査結果発表後、「保留理由は後日伝える」と協議会に説明し、11月中に追加資料を提出するよう求めていた。

ジオパークとは

 ジオパークは地球活動の遺産を主な見所とする自然の中の公園です。ジオパークは、ユネスコの支援により2004年に設立された世界ジオパークネットワークにより、世界各国で推進されています。ジオパークは、以下のように定められています。

 

 地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産を多数含むだけでなく、考古学的・生態学的もしくは文化的な価値のあるサイトも含む、明瞭に境界を定められた地域である。

公的機関・地域社会ならびに民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政計画を持つ。

ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会・経済発展を育成する。

博物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関する教育・普及活動を行う。

それぞれの地域の伝統と法に基づき地質遺産を確実に保護する。


 世界的ネットワークの一員として、相互に情報交換を行い、会議に参加し、ネットワークを積極的に活性化させる。これらに加えて防災への取り組みも重視されるようになっています。20086月にドイツのオスナブリュックで開催された第3回ユネスコ国際ジオパーク会議では、会議の終わりに採択された宣言に、「地質災害に関して社会と知識を共有するためにジオパークが役に立つ」という趣旨の一文が盛り込まれました。 

世界ジオパークと日本ジオパーク

 世界ジオパークは、世界ジオパークネットワークの審査を受け、世界ジオパークネットワークへの加盟を認定された地域です。2014年8月現在で、日本を含め30ヵ国、100地域からなります。

日本国内の世界ジオパークは、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸、隠岐 の6地域が認定されています。
 

 日本ジオパークは、世界ジオパークネットワークとは別に、日本ジオパーク委員会が認定する国内版のジオパークです。

 2014年8月現在で、 白滝、三笠、とかち鹿追、アポイ岳、三陸、八峰白神、ゆざわ、男鹿半島・大潟、磐梯山、佐渡、茨城県北、下仁田、秩父、銚子、伊豆大島、箱根、伊豆半島、立山黒部、白山手取川、恐竜渓谷ふくい勝山、南アルプス(中央構造線エリア)、南紀熊野、四国西予、おおいた姫島、おおいた豊後大野、阿蘇、天草、天草御所浦、霧島、桜島・錦江湾の30地域が認定されています。

 世界の中でも日本の地質は複雑で、多様性に富んでいます。また、地震や火山に代表されるように、地球が「生きている」ことによる様々な現象も実感できます。すなわち、日本自体がジオパークとしての豊かな素性を備えていると言えます。